2011年5月16日月曜日

練習場より 2011/05/16 - ひっくり返し

人間の骨格は他の動物と異なる部分も多いが、その基本設計は遠く両生類にも見る事が出来る。それは4足歩行の名残を過分に受け継いだ構造をしている。 『水辺で起きた大進化』である。

以前は前足であった手は、いつの間にやらゴルフクラブを握るものに変わってしまった。人間がハイハイをする時に指が前に出るのは前足であった名残である。

手は肩から伸びており、その可動範囲は広い。その可動範囲の広さのほとんどは肩の自由度によるものである。それと比べ肘や手首の可動範囲は一方向だけである。しかし手が広く使えるのはどれか単独の関節によるのものではなく、3つの関節の組み合わせによるからである。

起立した状態で手をブランと下げてみると、基本的に手の甲が45度の角度を持って前の方に向けられる。意識すれば手の甲の向きは自在に変える事が出来るし、手のひらを前に見せる事も出来る。手刀を作って振ってみれば、手の甲を前ににするのか手のひらを前にするのかで振りやすさが違う事が理解できる。

この振りやすさは体の構造からくるものなので四の五の言った所でどうとなるものでもない。だがスイングにおいて、この違いを意識することは大切であるように思われる。

例えば右手を何も持たずにトップ位置から振り下ろしてみる、手のひらを上にするのと手の甲を上にするのでは降りやすさが違う。体の前を右手で振り抜くとき、手のひらを前にするのと手の甲を前にするのでは降りやすさが違う。

左手は常に甲が前を向いている状態であるから考えなくてもいいが、右手はスイングの間に手の甲と手のひらがひっくり返る。この動きの中で、どの位置でひっくりかえすかは、スイングスピードに非常に影響を与える。振りにくい形にすれば、それが減速の原因となるのだから。

スイングは体の物理的、生物学特性を受ける。

例えば、スイングにおいて左肩を意識的に固定した場合、左肩の関節が動かない状況を作り出せば、スイングの道程上、左肘が肩の変わりに動く事で調整しようとする。肘を曲げ"くの字"形で先行させる事で力を逃がす。これは体が自然とする調節であって、これをしなければ体への負荷が高くなり過ぎるのである。力も水の流れに等しく高い方から低い方へと流れるものなのである。

スイングにおいてボールとの距離が遠すぎる場合、肩、腕の角度は水平に近くなる。この角度は脇を開けることによって生み出すしかない。脇を開けると手の甲のひっくり返しがスムーズにしにくい。ボールとスタンス位置の関係はクラブの長さで決まるが、脇が閉まる限界距離よりも遠く離れては無意味だ。

ドライバーでさえ気持ち上から叩く位で調度いいはず。それまで遠くに立ち過ぎた人からすれば。

トップで右肘をどうするかも、手の甲のひっくりかえしがスムーズになる事と関係する。これを邪魔するような位置にしてはならない。

両足は踏んばらない、動かなくても十分であり、右手のひっくり返しがスムーズにいくような軌道を探すことの方が重要と思うのである。

なお、スタンスは十分ボールには近い位置にあるので、スイング中は体幹がボールに近すぎないように気を付けるくらいの気持ちでいた方が良い。すると体幹の回転も何となくだが感じられる気がした。

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