力をどうクラブに伝えるか。意識では遅すぎると思われる。
筋肉の働かせ方には意識して動かすものと意識はしていないが動くものがある。随意筋と不随意筋の話ではない。足を前へという意識やもう少しここに力をという時、どれかの筋肉に力が入っていることは意識で把握できる。しかし、脳の中ではその何倍もの筋肉を強調し関連付け同期さえしながら動かしている。動的平衡とでも呼ぶべき働きがある。
ここの筋肉に力を入れた、ここを収縮させたという意識的な働き掛けは、スイング時間の中では余りにも短すぎる。実際の運動には遅すぎる運動と思われる。
気付いてから動かすのでは遅すぎる。ならば予測して同調させるしかないが、これは当然ながら必ず同期できるとは限らない。不測の事態には対応不能なものがあり、失敗の Point Of No Return がある。
それでもそれ以外の手段はないと思われる。スイングは右から左へと次々と淀みなく連続して動く。僅か 300ms 程度の時間の中に、意識して筋肉を緊張させて大きな爆発力(収縮)を発揮させる場所はない。命令したところでタイミングを逸するだけである。気付いた時にはスイングは完了しているだろう。
地上部隊からの爆撃命令が着て、爆撃地を飛び立たせ、指定エリアに爆弾を投下した所で、既に地上部隊の攻略は終わっており、自軍の基地を作り、周囲の民間人に安全な生活場所を提供し始めた頃に、ようやく到着して爆弾を投下するようなものである。
幾つもの小さな筋肉が短く瞬時に緊張する運動の連続する流れがスイングであるとすれば、スイングのどこにも途中に力を入れる場所はない。その意識して加えたい力というものも、スイング前に始まり、他と同期して働くべき緊張だろうと思うのである。
大きな力を与えるというイメージの中に勘違いがある。意識された巨大なパワーの発揮など、動きの遅い、タイミングも取れない、使い道のないパワーであって、恐らく遅筋であろう。速筋は無意識、遅筋は意識くらいに思っておけば十分ではないか。
柔よく剛を制すとは、ひとつの巨大な力よりも、幾つもの小さな力の合力が勝る場合があるという喩えだろう。
さて、体に対して左腕が平行には動けないことは、人間の構造上の道理である。よって、腕が右から左に動く時、体に対して斜めに動くはずである。
これはボールの飛翔線に対して斜めに横切ると言う事である。そして斜めに横切る軌道に対してボールは斜め前方向に飛び出す。この角度から、様々な合力によって斜めに横切るクラブはボールに対してはまっすぐに衝突していると思われる(もしくは人間の錯覚)。
とかく飛翔線に対して腕も平行と考えるのは間違っている。それは生理学的に不可能である。腕は斜めに横切る。
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