2017年6月1日木曜日

練習場より 2017.06.01号 - 肩甲骨

スイングにとって肩甲骨は大切。肩甲骨は背中で動く骨であり、骨が動くならば、筋肉はその影響を受ける。筋肉は縮む事しかできないから、元に戻るためには、反対側を引くしかない。相対したふたつの紐が伸び縮みして関節になる。

『ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学 - 本川 達雄』によれば、骨盤が背骨に強固につながっていて、肩甲骨が自由に動くのには理由がある。脊椎と骨盤が離れていたら謂わば紐で繋げたような形だから、足の蹴る力が上半身に伝わらない。

一般的に四つ足であれば、後ろ足で地面を蹴ると、その力が体を押す。足が骨盤を押して、その力が前に伝わる事で移動する。その力が効率良く伝わるためには背骨と骨盤は固く繋がっておく方がいい。そうしないと力が分散して逃げてしまうからである。

筋肉は引っ張る事で力を発揮する。足が地面を蹴るためには、膝が後ろから前に動く必要がある。後ろから地面を手繰り寄せ、次に押しだすというふたつの力のかけ方がある。これは前後の移動する運動を地面を蹴る力として伝えている。この地面に与えた力に対する反力(垂直抗力)によって体は前に進む。そうなるのは地球が圧倒的に重いからである。

一方で前足は、方向を自由自在に決めるためには自由である必要がある。前足で移動する方法に匍匐前進があるが、この時も、腕を使って前から後ろに地面を蹴る。この時、肩関節で体を前に進めているのではない。どちらかといえば、上半身で下半身を引きずっているが、どちらかといえば、蠕動運動に近いだろう。

肩甲骨には多くの筋肉が繋がっている。右から左へスイングする時、肩甲骨もその動きに従って移動するのは確かだろう。その時、肩甲骨の稼働を超えて移動することは不可能だから、肩甲骨の移動とスイングの移動は連動している。よってスイングをスムーズにするには肩甲骨もスムーズに動かなければならない。と考えるのは妥当だ。

トップの位置に移動する。肩の筋肉が動き、右の肩甲骨は外側に開いた感じになり、左の肩甲骨は前側に出るような位置に置かれる。

右の肩甲骨は外側に開くように位置づいているから、これが前に曲がるように出るのがスイングの初動で起きる事である。この前に出るという動きは自然と体を左向きに動かす。

左の肩甲骨は前に出ながら、右に位置づいている。左の肩甲骨は少しだけ右に移動し、次に右側に向かって動く。この移動範囲がスイングの幅と等しいはずである。

この時、体を開くと力が逃げてしまうはずだ。体全体が前に向こうとする力(体の左側に開こうとする力)が発生しているので、それを開放してしまうと利用されないままである。

これらの動きで重要となるのが背骨の移動であって、背骨はなるべく左右に動かない方が良い様である。背骨が移動すると、さまざまな場所が緩んだり、締まったりするため、影響範囲が大きすぎ、全体のバランスが複雑なのだ。

いずれにしろ、こういう動きはスムーズに、そしてささやかに行われるもので、意識してそれを強化するようなものではない。そのように動く事が相応しいが、それを更に早く強くやればスイングが強化されるわけではない。

そのような軌道やタイミングがある、という話と、その力がどのように発生し伝わっているかはまた別の話である。どちらにせよ、肩甲骨はとても重要な入口にあるという気がしている。

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