2018年4月1日日曜日

練習場より 2018.04.01号 - ロボットと首

付属を主力にするようではよい結果は得られない。本体を中心に組み立てるべきなのである。

ゴルフならば本体とは背骨である。それ以外のパーツは付属品である。人間のような体の構造をしていても、不要物を取り除けば、蛇と同じになるのである。

では蛇の首とはどこからどこまでか。学術的には、首の7つの骨の部分とするのだが、ここでは違う定義を使用する。首とは、舌の終わりから、胃の入口まで。つまり首とは食道の範囲である。我々が首と呼んでいる部分は、喉である。

食道を首とするなら、首の骨の数は7つではなく、C1-C7 から T1-T8 辺りまでである。



首を頸椎だけと考えるのではなく、もっと広く捉える。頭を支えるためには、7本の骨と周辺の筋肉だけでは足りない。もっと動員すべきなのである。

なぜこのような誤解が起きるかと推察すれば、ロボットアニメの影響が大きいと思われる。マジンガーZ はロボットの革新であったが、体の構造に対する誤った理解を刷り込んだ。

アトム、鉄人、ロボット三等兵などは、頭、首、胴の三節で構成されているが、マジンガーZ 以降、頭、首、胸、腹、腰の5節が主流となった。

このロボットの構造は、人間が外骨格生物である場合の仮想であるから、その創成には甲冑や昆虫が参考にされた。特に関節の在り方や組み合わせ方は節足動物に由来する。

その後の革新として、エヴァンゲリオンがある。体節数が増加し、首の装甲が特殊化した。胸部は小さくなり、腹部は更に3つに分節した。これはムカデなどの多足類が参考にされたものと思われる。

鉄人が甲冑をモデルとして草摺やスカートを取っ払った形状であるのに対して、マジンガーはより肉体的、生命的な形状に変わっている。デザインは次第に筋肉を鉄鋼化する方向に進んでいるように思われる。

しかし、それは外から見た形であって、筋肉の付き方をデザインしたものではない。フォルムを中心にしたデザインである。そうではなくて、我々には解剖学に基づいたデザインが求められているのである。

これは、自分の体について考える場合にも重要である。筋肉がどのようについているか、を理解することは容易い。だが、それがどのように動くか、互いにどのように連動するかを理解するのは至難である。

だから実際に動かしてみないと何も分からない。その場合に、背骨を中心に動かすという事を意識する。動きの本体は背骨にある。肩甲骨も腕も付属品なのである。

人間の体を構造的に語るならば、まず内蔵部分がある。これは骨盤が下支えして、全体を筋肉で包む。脊椎は骨盤から延びるが、先端に頭骨を付けるためである。よって、頭骨から内臓部までが構造的には首である。

だから首には次の付属品が着いていると考えるべきなのだ。頭骨の下に喉があり発声を司る。その下に潤滑系が配置されている。肺と心臓は休みなく動き続ける重要器官なので肋骨で保護している。背中側に肩甲骨を配置し、そこに腕、肩などの筋肉を取り付けている。

解剖学的に見れば、内骨格と外骨格の関節は異なる。外骨格系は関節の中に様々なものを通すが、内骨格系では、筋肉は関節の周囲を通してゆく。

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