構造的には、もちろん肩は、肩関節に固定されている。だからといって、それを動かすのが肩と考えるのは短絡なようだ。
人体の構造は、ご存知の通り、内骨格系の生物の宿命として骨を筋肉で結びつける。本川達雄の「ウニはすごい バッタもすごい」によれば、筋肉は収縮する方向でしか力を発揮できない。よって縮めるのが力であって、伸ばす力はない。伸ばす動きの場合は、反対側で収縮が起きているはずである。
ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学(2017/2/19) - 本川 達雄 - 中公新書
意識は反対側を縮めるとは理解していないだろう。そのような考えでは意識には馴染まない。伸ばすという意識を縮めるに変換する機構がどこかにある。
コリとはこの筋肉が緩やかに長時間収縮した状態が続いた結果であろう。そのための疲労がコリである、と思われる。単純に考えるならば、縮んでいるのなら、反対側を伸ばせば伸びるではないか、と考えられる。だがそう簡単ではないようだ。
収縮は神経が支配している。これを物理的に伸ばしても、収縮信号が停止するとは限らない。伸ばしても収縮信号が流れ続けているならば、疲労が解決することにはならない。これは筋肉の問題ではなく、脳から神経へと発する電気信号の問題なのだ。
一般的にマッサージには、筋肉をほぐすと同時に、この信号を遮断する効果がある。一時的にも信号が止まれば筋肉は疲労を回復させることができるわけだ。ただし根本の原因が取り除かれなければ、再び信号は発生するだろう。またしばらくしたらコリが辛くなる。
肩を動かすには、肩と結ばれている筋肉が収縮しなければならない。人間の体はあちこちが結びついているから、類似する動作をするのにも複数の経路がある。だから、どの筋肉を主力として使いますかという話になる。
肩回りの骨に注目するならば、鎖骨と肩甲骨は外せない。これらが背骨を結びついて肩を動かす。これらのどれをどの程度参加させていますか。それによってコリ方も違ってくる。
肩とは鎖骨の先についた支点である。力点は鎖骨の胸骨側にある、という感じ。つまり、肩は鎖骨で動かす、と考える。
人体の多くはテコを利用している。だから鎖骨と肩の位置関係も直線上にはない。軸線を変えてゴルフクラブのようなトルク(回転、捩じる力)を生み出す構造がある。回転しやすくする事で関節が動かしやすくなる。
胸骨側から鎖骨を通して肩を通って腕を動かす。肩は肩関節で固定されているが、これを鎖骨を使って動かす。車のシフトノブのようなイメージだ。
胸骨側に力点があり、肩が支点となって、作用点となる腕を動かす第1種てこ。
このように意識し、鎖骨を動かすようにすることで、背中の痛みがかなり軽減できた。そして、この動きがゴルフスイングに影響しないはずがないのである。
スイングは立ち姿の姿勢を見るだけで明らかである、という理想に基づいて考えてゆきたい。
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