2017年6月29日木曜日

練習場より 2017.06.29号 - 後ろから押す力

人が歩く時は重力を利用する。歩くとは自らを倒すことと倒れないようにすることの連続である。それはちょうど、投げたボールに十分な速度があれば地球の周りを一周して後ろから帰ってくるように、月が常に地球に向かって落ち続けているように。

ではなぜ月は地球に落ちてこないのか、月は地球の周囲を楕円軌道に回っている。この公転速度が十分にあるから、地球に落ちる前に一周して戻ってこられるのである。

さてすると、月が遠ざかっているという話に疑問がつく。重力で結びついている二つの間で離れるのはどうしてだろうか。物理学者は地球の自転速度が下がっているため、月は遠ざかっていると語る。

自転速度が下がるのは潮汐バルジのためである。月の潮汐力により地球と月を結ぶ側の海面は上昇している(大潮はこれに太陽の潮汐力も加わったもの)。海面の上昇している部分は、重力の影響を受けて形を変えるまでに時間が必要なため、月との鉛直方向より遅れた場所に形成される。0時に月が頂点にあるとき、その場所が満潮を迎えるのは3~4時間後である。これは数時間 自転した場所に満潮ができるという事である。




このずれが地球の自転方向の前にできるため、月は地球の自転を後ろに引っ張る方向で働いている。これが地球の自転が遅れる理由になる。地球の自転が遅れる方向に引っ張られているという事は、月は速度を上げる方向に引っ張られているという事になる。地球の自転の遅れと月の公転が早くなるのは同じ話である。

重力の影響から人間も無縁で居られない。歩くときも前に向かって倒れる力が働いている。月風に言えば、地球に向かって落ちているのと同じ力である。ただ落ちる前に人間は足を前に出す。だから地面に倒れるまえに先に進むことができる。

さて、ここでふたつの考えが生まれる。即ち 前に倒れる方法には二つある。一つは簡単に考えて、体を前に倒すようにすることで前に進む力を得る。前に進む力と下に倒れる力が体の前方に発生している。前に倒れる力で体を前に移動する。




もうひとつの方法は、背骨を後ろに下げて、後ろから押すような力を骨盤に発生させる。これは上半身の重さを骨盤に与えると、角度によって前に押すような力が発生する。後ろから骨盤を押すような感じだ。




ゴルフスイングでもこの違いが影響しないはずがない。つまり 上半身を後ろにのけぞる様にする。前かがみのスイングでは力を発揮できない。

トップの形を作ったとき、両足がいくら水平に構えていても、骨盤は右を向く。上半身はもっと右を向いている。体の線は全体的に右を向いている。

このバランスの時に重心はどうあるべきか。スイングは一般的に右に重心があるほうがよい。しかし、右を向いている時に、右足に重心が乗り過ぎているとスライスになるようだ。これは、右足から左足に体重が移動する動きがそのままスライスを生む軌跡となるからだろう。

とすると、体重は右足に残したままでも良いのではないか。トップで斜め右を向く方が力はよく発揮される。少なくともその方が打ちやすく感じる。だた打ちやすく打っているとスライスが多発する。その理由が右足から左足に体重が移動するからではなか。なにやら解決の糸口が見つかった気分だ。




2017年6月11日日曜日

練習場より 2017.06.11号 - 区間

さてさて、スイングで最も重要な区間について考える。右肩から左肩まで、ほぼ360度の回転をするクラブで、どの区間を重要と考えるか。

そこで思うのだが、体の前、右足から左足の区間である、という考えに行き着いた。クラブがこの間を通過する瞬間をスイングと呼ぶのではないか。

ではそこを最も重要と考えるならば、準備はその前に終わっていると考えるのが、人間の妥当的な論理構造である。メッセージ(Story of Your Life)ではあるまいし、文法の構造上、全てを一度に把握できてしまう、みたいな論理は荒唐無稽なのである。量子コンピュータが並列的に一瞬で暗号を解くという話もあるが、ゴルフにそれを応用するには荷が重い。

我々の論理には帰結というものがあって、すると始まりから帰結に向かって辿るか、逆に帰結から始まりに向かって遡るしか手に負えないという話である。一瞬で全体を理解できるなど、脳の深層心理か、天才の御業である。そのような論理的構造、道筋を歩く以上、出発点があって到達点がある、始まりがあって終わりがある、入力があって出力がある、原因があって結果がある、目的があって手段が生まれる。それを因果関係と呼んでいる。

スイングでは「左腕」の動きも重要だが、クラブの動きを鑑みるとき、「左手」の重要性も無視できない。左手の動きは、スイングの準備から参加する。クラブがスイング中にどのように向きを変えるかを考えると、当然ながら複合的なベクトルの合算である。腰の向き、体幹の向き、上半身の向き、下半身の向き、肩の開き、腕の位置が複合するので人間に意識できるのはごくわずかである。

その中で、左手の向き(手の甲の向きでもよい)を意識する。左腕のスムーズさは、左手の甲がどのような向きを取りながら動くかという話と近似する。だが、左手の角度を意識するのではなく、クラブの向きと左手の向きは同じであり、左手の動きはそのままグリップの動きと同値である。するとグリップの動きを意識することで、シャフトのしなりや、ボールに中っての跳ね返りなどが手元で感じることができる。

まぁ、言葉ではうまく言えないのだけれど、トップ位置からの左手の動きが大切、を意識した、それだけのこと。That’s it.

2017年6月3日土曜日

GOLF 2017/06/03 - パターの振り幅

まぁまぁの結果である。ミスはあっても、それがきちんと感覚として残っていて、あれが悪いから、ここがまずいから、これはこうあるべき、こうなれば良くなるはず、失敗が自分にフィードバックできていて、そんなに気分は悪くなかった。

もちろん、人間というものは、自分自身を納得させたい生き物だし、その為なら、記憶そのものを作り替えることもある。自分自身に嘘をつくなど容易い。納得できる理由があれば、正しいかろうが間違っていようが関係しないのである。納得できることが真実。事実だけでは心は官能しないのである。

それでも、完全ではない、と意識しながらプレーできたのは良かった。それを今ここで完成させるのは難しいという事さえ十分に理解できていた。それは今後の課題であっていま対応する事ではない。ボールはよく右に飛んだが、修正できないまでも、なぜそうなるかは何となく把握できていた。それを練習場での課題とすればいい、と割り切る事もできた。割り切ることは精神の上でも好ましい。

それにしても、スコアとスイングの間には何も関係していないのではないか。2、3オンしても、3パットすれば、スコアは簡単に崩壊する。パッティングに問題があることは織り込み済みなので、それ以上を期待するわけではない。パットが狙って入るくらいなら、もっと違う攻め方がある。

それでも、パットについては少し分かった気がした。それが今回の最大の収穫である。今まで振りすぎだった。パターは、もっと短い距離で振る方がいい。それに気付いたのは、練習グリーンで打ってた時だ。両足の範囲を振り幅にすると方向性が非常に良かったのである。

これまでパターを振りすぎていた。振る距離が長くなれば、その分、安定性は欠けるはずで、長く走れば、方向性がズレるのは仕方がない。速度が緩くなれば更に安定性は欠けるはずだ。これは物理的現象ではない。ゆっくり振る方が筋肉の介在が増加するために起きる生理的現象だ。

疲れてくると体は自然に崩れる。その時、自分の姿勢がどうなっているかが分かる。自分のどこが弱いか、左右のバランスがどうなっているか。真っ直ぐに立っているつもりが、全然そんな事はない。普段からどれだけむりやり真っ直ぐにしていたのかが歩けば分かる。大きく左に傾いていた。

こうしてゴルフは次第に姿勢と同じ意味になってゆく。普段の体の使い方がそのままスイングに投影されるのがゴルフだから、日常生活からよい体の使い方をしなくちゃいけない。

2017年6月1日木曜日

練習場より 2017.06.01号 - 肩甲骨

スイングにとって肩甲骨は大切。肩甲骨は背中で動く骨であり、骨が動くならば、筋肉はその影響を受ける。筋肉は縮む事しかできないから、元に戻るためには、反対側を引くしかない。相対したふたつの紐が伸び縮みして関節になる。

『ウニはすごい バッタもすごい - デザインの生物学 - 本川 達雄』によれば、骨盤が背骨に強固につながっていて、肩甲骨が自由に動くのには理由がある。脊椎と骨盤が離れていたら謂わば紐で繋げたような形だから、足の蹴る力が上半身に伝わらない。

一般的に四つ足であれば、後ろ足で地面を蹴ると、その力が体を押す。足が骨盤を押して、その力が前に伝わる事で移動する。その力が効率良く伝わるためには背骨と骨盤は固く繋がっておく方がいい。そうしないと力が分散して逃げてしまうからである。

筋肉は引っ張る事で力を発揮する。足が地面を蹴るためには、膝が後ろから前に動く必要がある。後ろから地面を手繰り寄せ、次に押しだすというふたつの力のかけ方がある。これは前後の移動する運動を地面を蹴る力として伝えている。この地面に与えた力に対する反力(垂直抗力)によって体は前に進む。そうなるのは地球が圧倒的に重いからである。

一方で前足は、方向を自由自在に決めるためには自由である必要がある。前足で移動する方法に匍匐前進があるが、この時も、腕を使って前から後ろに地面を蹴る。この時、肩関節で体を前に進めているのではない。どちらかといえば、上半身で下半身を引きずっているが、どちらかといえば、蠕動運動に近いだろう。

肩甲骨には多くの筋肉が繋がっている。右から左へスイングする時、肩甲骨もその動きに従って移動するのは確かだろう。その時、肩甲骨の稼働を超えて移動することは不可能だから、肩甲骨の移動とスイングの移動は連動している。よってスイングをスムーズにするには肩甲骨もスムーズに動かなければならない。と考えるのは妥当だ。

トップの位置に移動する。肩の筋肉が動き、右の肩甲骨は外側に開いた感じになり、左の肩甲骨は前側に出るような位置に置かれる。

右の肩甲骨は外側に開くように位置づいているから、これが前に曲がるように出るのがスイングの初動で起きる事である。この前に出るという動きは自然と体を左向きに動かす。

左の肩甲骨は前に出ながら、右に位置づいている。左の肩甲骨は少しだけ右に移動し、次に右側に向かって動く。この移動範囲がスイングの幅と等しいはずである。

この時、体を開くと力が逃げてしまうはずだ。体全体が前に向こうとする力(体の左側に開こうとする力)が発生しているので、それを開放してしまうと利用されないままである。

これらの動きで重要となるのが背骨の移動であって、背骨はなるべく左右に動かない方が良い様である。背骨が移動すると、さまざまな場所が緩んだり、締まったりするため、影響範囲が大きすぎ、全体のバランスが複雑なのだ。

いずれにしろ、こういう動きはスムーズに、そしてささやかに行われるもので、意識してそれを強化するようなものではない。そのように動く事が相応しいが、それを更に早く強くやればスイングが強化されるわけではない。

そのような軌道やタイミングがある、という話と、その力がどのように発生し伝わっているかはまた別の話である。どちらにせよ、肩甲骨はとても重要な入口にあるという気がしている。