2015年9月30日水曜日

練習場より 2015.09.30号 - ケプラーの第二法則

ケプラーの第二法則によれば、惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は一定である。惑星は太陽を片方の焦点とする楕円軌道であるから、太陽との距離は離れたり近づいたりする。

この時、描く面積が一定であるから、近づけば早くなり、遠くなればゆっくりと軌道を進む。これはスケートで回転する時、手を突き出せばゆっくり回転し、体に折りたためば早くなるのと同じである。ケプラーの法則は、角運動量保存の法則と同じである。





運動は通常、直線で考える。車の運転などどれほどロング・アンド・ワインディングであろうと、直線距離で考える。

回転も運動なので距離と時間に置き換わるが、回転の場合は角度 (radian) と半径 (radius) が決まれば距離が決定する。距離は円周 (2×π×r) に対する角度の比率 (r/360) で決まるので角度だけを考えれば汎用性が高い、となるようだ。なおテコも回転運動である。



ゴルフに関係する主な力とその効果
円周近くなれば軌道は短くなる遠くなれば軌道は長くなる
角運動量近くなれば速度が早くなる遠くなれば速度が遅くなる
テコ(支点との距離)近くなれば重くなり加速が悪くなる遠くなれば軽くなり加速が良くなる
空気抵抗小さければ加速が良くなる多ければ加速が悪くなる
シャフトの重さ軽くなれば加速が良くなる重くなれば加速が悪くなる

さて、ドライバーも物理学である。

スイングでは、トップからインパクトまでは体に近く。インパクトからフォロースルーは大きく弧を描く。弧を大きくすることでドライバーを減速するのである。

ドライバーではボール位置を左足の先に置くのが一般的だ。これはシャフトのしなりが関係するのであって、通常は体の真ん中で打突すると考える。打突からしなりが戻るまでの時間差の間に進む距離が左足周辺にあると考えるのが妥当だろう。

インパクトまで円弧を小さくするのであれば、肘は自分が思っているよりも体に近づけて打つことになる。殆どの場合、腕が体から離れ過ぎているのではないか。

ドライバーが十分に長いクラブである以上、腕を伸ばして更に円周を伸ばす必要はない。また円弧を大きくすれば必ずしも速度が上がり遠くへ飛ぶとは言えない。

それならば、クラブは短いほど速度が速くなるのではないかと問えばそれも違うだろう。シャフトの長さが短ければ円周が小さくなる。円周が小さいという事は移動距離が短いと言う事である。距離が短ければ加速が十分な速度に達する前に打突点を通過することになる。

短すぎれば加速に必要な距離が稼げず、長すぎれば逆に速度が遅くなる。つまりスイングが発揮する力に対して最適な長さがあると考えられるのである。

ではどの力に対してどの半径が最大速度の軌道であるかという数式が結論として必要である。ゴルフスイングはハンマー投げのように何回転もできる競技ではない。そのハンマー投げも重さと力との間で最大となる長さが算出できそうなものである。いわんやゴルフをおいておや。

適切な長さは外部から人間が与える力がパラメータとなる。そこでは加速に必要な距離と最大の速度を生み出すための円半径が求められる。それでも色々な状況がゴルフでは考えられるから常に同一のスイングは存在しない。

基本的にそういう物理学の要請は、経験則や様々な計算から現在のクラブに平均値として実現されているはずである。つまりギアとしては、大きく間違えたものにはなっていないと考えられる。

そこでプレイヤーとしては、先ずはドライバーが長いほど遠くへ飛ぶというのは思い込みかも知れない、という事から始めるべきではないか。

2015年9月25日金曜日

練習場より 2015.09.25号 - スタンスの角度定理

ドライバーというのは自分が思っているよりも小さく振るべきだ。大きいクラブをより大きく振ろうとするのは多分、間違えている。

人間の筋力はクラブによって変わるわけではないから SWも1Wも同じ筋力で振ることになる。これによりクラブに与えられる力は一定と考えられる。

よってヘッドスピードの差は筋力ではなくクラブの長さによって決まると考える。同じ速度で回転するならば半径(R)が長いほどクラブの移動距離は長くなる(2πR)。
R2πR

人間のポテンシャルは個々人で決まっているので、無制限に長いクラブが振れるわけではない。自ずからクラブの長さには物理的上限がある。その限界はクラブの重さと空気抵抗によって決まるはずだ。

クラブの飛距離には次の要因が関係する。
  1. 筋力 - 同じ
  2. シャフトの長さ - 異なる
  3. スイングの軌道距離 - 異なる
  4. ロフト角 - 異なる
  5. シャフトのしなり - 異なる

ドライバーの方が飛距離は大きいのは、軌道距離が長くなれば、ヘッドが加速に使える時間が長くなり、その分だけ加速度を上げる事ができる。ロフト角が小さくなれば、弾道が変わり飛距離に影響する。

よってドライバーを長くするのは当然の帰結である。シャフトが長くなればボールから遠くに立つ。ドライバーはもともとシャフトが長いが、飛ばそうとするので、更に長くしようと腕を伸ばそうとする。自然と遠くへ飛ばそうと大きく振ろうとする。これは正しいスイングとは言えない。正しくなければ力が正しく伝わらないので飛距離も失うだろう。ドライバーは意識して小さく振るくらいが調度いい。

速い速度のものほど力は大きい(運動エネルギー=0.5×質量×速度2)。それを支える土台もしっかりしないといけない。

つまり普段からドライバーで立つ位置は遠すぎるのではないか。逆に SW は近すぎるのではないか。

ボールとスタンスの距離はシャフトの長さだけではなく、クラブのライ角も関係する。ライ角とシャフトの長さからグリップの高さが決まる。グリップの高さが決まれば、前傾の角度とボールの位置も決定する。

1Wはクラブが長いからそれだけクラブの角度は寝かし気味になる。SWは短いので角度は大きく立てた感じになる。そこには体の長さ、腕の長さ、クラブのライ角から、スタンス時の体の傾斜角、腕の角度、ボールと体の距離を公式を使って求めることは可能である。



なお、ボールを置く位置が左右に代わるのは、恐らくクラブのしなりが関係している。しなりが戻る分だけ、ボールを左足の方に置くはずである。

2015年9月18日金曜日

練習場より 2015.09.18号 - 金魚のしっぽ

ゴルフスイングは、腕が体の左右に変化する運動である。これにとても類似した運動に魚の尾びれがある。どうしてこれまで其れに気付かなかったのか不思議だ。

アプローチの練習をしている時に、不意に、これは金魚のしっぽの動きではないかと思った。そうするともっと大きく振るのはアユの泳ぎだし、ドライバーならば、さしずめマグロの泳ぎ方ではないかと思ったのである。

例えば魚の泳ぎと言うのは、おもちゃの魚ではあるまいし、しっぽだけが左右にひらひらと振れるのではない。鰓から尾っぽまでの左右の筋肉を大きく使って鰭を動かしているのである。

これをスイングに例えれば、腕からクラブまでを尾びれと思えばいい。すると魚の体に当たる部分は足から首になる。

ゴルフクラブを金魚のしっぽと見做すとスイングの何かが変わる。ゴルフスイングは一度だけ尾びれを動かした時に最大の推力を得ようとする魚の運動と同じである。飛んでいくボールは尾っぽで跳ねた虫か小石のようなものだ。

水中で泳ぐ動物には他にクジラ、イルカ、アシカやアザラシなどがいる。鳥ではペンギンや、餌をとるために水中に潜る鳥も多い。微生物も泳ぐし、イカやタコも泳ぐ。もしかしたらゴルフスイングに応用できる運動をしている動物は他にもたくさん居るかも知れない。

魚たちの泳法は逆カルマン渦を生み出し水の抵抗を最小にするまで発達しているが、ゴルフスイングは水中でするのではないし空気抵抗を気にするほどのものではない。

尾びれの動きはどのようなものかと言えば、銀杏の葉(東京都の紋章)のような形をとる。ここで重要なのは、三角形ではないと言う事である。先に行くほどしなって円周が大きくなる。この距離を長くすることにはそれなりに意味があるはずだ。


尾びれは水の抵抗と対抗して推力を得る。そのため抵抗に対抗するだけの柔軟なしなりがあればよい。運動の主体は魚ならば胴体、同様に人間でも胴体になるはずである。

動く主体である胴体を、魚で例えてみよう。最初に右側の筋肉で尾びれを右側に引き、水を掻くために左側に動かす。この時、水のような強い抵抗をイメージした方が分かりやすい。もし可能ならサウナの水風呂で水を掻いてみれる。

いずれにしろボールが飛ぶのは結果であって因果ではない。ゴルフクラブの因果とは、推力を最大に得るような金魚の尾っぽ、フナの尾っぽ、ツナの尾っぽの動きであって、ボールはたまたまその軌道上に置いてあったゴミのひとつに過ぎないのである。つまり空気や水の分子などと同じ立場に過ぎないのだ。

背中側の筋肉をとても重視する。特に、広背筋、脊柱起立筋が主体となりそうだ。

この時、主体部分がふらふらと動くのは良くない。止めておく方がいい。その方が右から左への動きはうまくいく。魚で言えば、頭をふらふら動かして泳いでいる魚は少ないという事。頭は動かさず、更に言えば、速く泳ぐ魚は、体だってそんなに大きく動かしているものではない。

でんでん太鼓をイメージして回転を考える人もいるが、おそらく魚は、尾びれを回転させようと動かしてはいないと思う。それと同じことがスイングでも言えそうだ。

ま、マグロなのはタイガーとかミケルソンのスイングであって、我らアマチュアゴルファーは金魚のしっぽですよ。ゆらゆらと揺れる尻尾のようなスイングで十分じゃないですか。鮒の泳ぎができるならこれはもう名人です。

2015年9月13日日曜日

練習場より 2015.09.13号 - 録画機能

バイクに乗っている時、右コーナーと左コーナーでは曲がりやすさが違った。もちろん、左側通行だから右コーナーの方が視界が開けて感じるという理由もあるのだろうが、体が持っている左右差にも影響されるだろうと思った。

人間の体は左右ほぼ同形であるけれども、だからと言って、全く同じわけではない。内臓の配置、筋力差、右利き、左利き、右脳、左脳の違いがある。人間は左右で異なる二系統を連結させて動いている。そうである以上、どちらかの系統を主とし他方を従とするので、そこに差が生まれるのは不思議ない。

まぁそれがどのようにゴルフスイングに影響するのかは分からないが。

さて前回に引き続き手首の軸問題である。

親指側ではなく、小指側を腕の回転軸にする。これがなかなかに良い。もちろん、耳にタコ、狼少年の如き信頼性の欠如であろうが、良いものはよいのだ。軸を変えることで、手のたたみがスムーズになった。その代わり何か小さく畳んでいる気がしてきた。

こういうとき、録画ができれば便利。

打席にスマホスタンドが設置してあると、セルフィーを取れていい。セルフタイマーで自分のフォームを録画する。手元で操作できればぐっと便利だ。

でもね、それだけだとスマホの録画。打席にセンサーとかカメラを設置すれば、スタンスからフィニッシュまで自動で録画してくれる。センサーが打ちはじめを検出して録画を開始する。ボールが飛んだら撮影を停止する。

打席のカメラは、正面、横、後、上にある。全方向からのスイング映像がスマホにコピーされるの。

スイングを映像に取れば、いろいろと解析できそうな気がする。小一時間くらい映像を眺めれば何かの気づきもありそう。

でも自分のフォームを見たら絶望して嫌になっちゃうかも知れない。これ諸刃の剣。

2015年9月11日金曜日

練習場より 2015.09.11号 - グリップ

グリップはクラブと人間の唯一の接点であるから極めて重要である。しかし、人間の手は個人差も大きくまたクセもあるものだから一概に"こう"とは言えない。しかし大きくふたつの持ち方があることは確かのようである。

これまで左第二指の基節骨部にマメができていた。これはスイングでクラブが当たるからだが、これが改善されなかった理由がやっと分かった。

その原因は、クラブを第二指、第三指を中心に握っていたからである。クラブを手の平、手相の知能線、感情線を中心に握っていたのである。

これを改善する。

第二指、第三指ではなくて、手の小指側を使う。詰まり、第三、第四、第五指を中心に握るようにする。そうすると、手の平ではなく、手の平と指でクラブを握るようになる。これによって親指でクラブを上から抑えるのもなくなった。

手の平は平べったい。腕は完全な円柱ではない。親指と小指の方向に広がった楕円柱である。

人間の筋肉は緊張していると固定されて動き難くなる。クラブを、第一、第二指を中心に握った場合と、第三指~五指で握っている場合では、固定される場所が変わるため、腕の動きもその影響を受ける。

具体的に言うならば、指に力を入れた側が腕も固定される。

親指と人差し指で輪を作り指に強く力を入れると、手首を回す、折るなどをした時、親指側(腕の内側)を軸にして運動する。

逆に小指側に力を入れたときは、腕の外側が固定化され、そこを軸にして動く。

○小指側(尺骨神経系)×親指側(正中神経系)

手は主にふたつの神経系統で動いている。親指から中指までの正中神経と、薬指と小指の尺骨神経である。グリップは尺骨神経系を使って握る。

ではコッキングやリストターンなど腕の動きが多く必要とされる。どちらを軸に腕が回転するかはこの動きの時にとても大きく影響するだろう。

小指側を軸とした方が、スイングはスムーズになるようだ。それだけでなく、腕がきちんと下を通り、畳み込みもスムーズである。また右腕の一体感も良くなったと感じる。