2016年9月16日金曜日

練習場より 2016.09.16号 - 腹筋で支える

熊田曜子の事を此処に書く事になろうとは思いもしなかった。しかりロンドンハーツで彼女が言った事は正しいと思う。

通常、姿勢を良くする、背中をピンと伸ばすと言われたら、背中の筋肉を意識する。

しかしながら、背中の筋肉は基本的に薄く表面にへばり付いている形であり、ものを支えるのには不適切な構造である。

支えるならば倒れる方向に対して三角形の形を作るべきなのだが、体を横から見れば分かるように、背中側だけでは十分な三角形を作る事ができない。底辺の短い三角形しか作れないのである。

背骨はキャメルクラッチの例を見れば分かる通り前にはよく曲がるが、後ろには曲がりにくい構造である。これは関節がそうなるように嵌め込まれているからで、逆に言えば、その構造で重さを支えれば、筋肉は不要という話になる。

もともと、四足歩行から二足歩行に移行した時点で、類人猿は体を垂直に支える必要が生まれた。多くの猿がその支える役割を重力に任せている。木の上でぶらんとぶら下がることで、ほおっておいても自然とまっすぐになるのである。

陸上歩行する猿の多くは前傾姿勢である。見事な直立姿勢を見せるのはよく訓練された猿か、ボノボか猫くらいしか聞かない。

熊田曜子が語っていたのは、姿勢は腹筋で決まるという話だ。少し抑えつけたくらい腹筋を緊張させている状態が、良いという話である。

この話を聞いて不意に思った事がある。人間の特徴のひとつはよく発達した腹筋ではないのか。非常に恣意的な訓練をすれば8パックも可能だ。そのような不自然な話は除くとしても、四足動物と比べた時、直立姿勢を支えるのに人間は強く腹筋を発展させた動物ではないのだろうか。

姿勢を良くする、背中をまっすぐにする。その時、意識するのは背中ではなく、反対側を使う。上半身は腹筋で支える。そう考えた。

腹筋で上半身の全体を押し上げる。首や背中の筋肉は基本的にバランスを取るためだけに使う。そう意識してくると、色々な事が理解できた気がした。

背骨を腹筋で支えるのだから、肋骨を下から押し上げるイメージである。これは、腹側から上半身を後ろに押すような形である。

後ろに押された背骨は構造で全体を支えればよく、筋肉を使う必要はない。頭ものけぞるくらい後ろに倒せば、首の筋肉にも休息を与えることができる。これは腹部と背骨で作られた三角形が強く支える形になっていると思う。

そもそも、腹筋という大きな筋肉は、おそらく背筋よりも強い。肩が凝った、背中が凝ったという話はよく聞くが、腹筋が凝ったなどという話は聞かない。腹筋は支えるのに適した筋肉であり、力も強くかつ、休みやすいように出来ているはずだ。

この姿勢の変化は、ゴルフスイングにも影響すると思っている。

スタンスからして、支え方が違ってきているからである。

その上でシャフトの両端(グリップとネック/ヘッド)を意識する。

ヘッドは最も遠い位置からボールに向かって移動する。その時、ひとつの流れるような運動ではなく、二段階に分けて運動するようである。最初にトップ位置から下に落とす。まずネックが上を向く位置まで落とす。次にヘッドが横方向への運動を開始する。

これが二次元平面上(X,Y)ではなく、三次元空間(X,Y,Z)で行われる。その軌道は円軌道をイメージしない。

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