2016年9月4日日曜日

練習場より 2016.09.04号 - 地面の重要性

スイングの時、ときたまいい感じで打てる事がある。それはずっと謎だった。その時に何が起きているのかが。

スイングは重力から逃れられない。位置エネルギーは高さ0の時0であり、遠くなるほど無限大に近づく。距離が0になるほど位置エネルギーから運動エネルギーに置き換わるので位置エネルギーは0に近づくのである。

当然クラブを高いところから、ボールの位置まで下げることは、位置エネルギーを運動エネルギーに変える運動である。

これは重力による運動であって、クラブの質量を重力が引き付けるから発生する運動である。この運動エネルギーはその先でボールと衝突する。

これは超新星爆発と同じメカニズムでもある。超新星爆発は、周辺の粒子がものすごい勢いで落ちてくる現象である。落ちてきた粒子は、恒星の中心にある核と衝突する。

恒星の中心は強い重力によって凝縮しようとする。それが高圧高温状態を生み出し、核融合を可能とする。水素(1)からヘリウム(2)と始まり鉄(26)までこの現象が続く。しかしコアが鉄になるとこれ以上核融合が進まない。それどころか、光崩壊によってヘリウムと中性子に変わる。すると鉄が占めていた場所がヘリウムに変わるので、中心の密度は希薄になる。

そこに一気に周囲の粒子が流れ込む。流れ込んだものが中心に新しい核を作り出し、その後から流れ込んできた粒子とぶつかる。衝突した粒子はコアで跳ね返される。衝突する以上の反発が起きれば全体は外側に向かって広がる。一気に広がれば周囲のものを全て吹き飛ばすことになる。これが超新星(爆発)である。

超新星と比べるまでもないが、ゴルフスイングだって話は同じだ。下から上に向かい、また上に上がる以上、どこかで位置エネルギーは地面と衝突しているはずである。衝突すれば斥力が起きるのは当然であろう。

これを簡単に言い換えるならば、スイングすれば、地面に向かって押すような運動をしているはずであって、それは当然ながら地面から押し返されているという事である(この場合の衝突は重力によって起きるが、斥力は電磁気力で発生する)。

ゴルフコースは芝生なので、斥力は芝生のクッションも考慮しなければならない。ここが難しさのひとつなのである。スポーツのほどんどが床を固く安定させる方向で発展している。芝生や砂浜でやることは難しさの要因である。

この反発する力にうまくのる事が、いい感じの正体であると思う。それを感じるためには、スタンス。姿勢が重要だろう。まっすく落ちた力を押し返してくる。それを体できちんと受け止めるためには、スタンスの状態で準備しておかなくてはならない。足の位置と重心は跳ね返される力に対して構えていなければならない。

そうすると、自然と前傾姿勢や、前かがみであるより、垂直に立つ方がいい。こうして反力を受け止めるスタンスを作れば、あとは、クラブがボールにヒットする時に、つまりクラブが一番下にある時に斥力を感じ、その力をきちんと受けとめて、クラブが上がることに利用すればいい。

スイングは決して体の中でだけ完成する運動ではない。スイングが成立するためには地球という巨大な質量と重力が必要である。もちろん、生物が生存するには太陽も重要である。この人間原理によってゴルフクラブが生まれ、重力によってクラブはボールと当たり、そして、地面からの斥力によってクラブはフィニッシュに位置に上がるのである。

太陽と重力と地面。これらの力を使うという事が、スイングには欠かせない。

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