2015年8月28日金曜日

練習場より 2015.08.28号 - ウェストが細くなる理由

脊椎動物はカンブリア紀に誕生したピカイアの近縁を始祖とする。魚類は脊椎を獲得し、脊椎を中心に骨格を形成し、その周りを筋肉で覆うという運動の基本設計を完成させた。

魚類の多くが体の真ん中に脊椎を配置するが、陸上に生活圏を広げた両生類以降、脊椎は体の上側に、即ち背中側に配置されるようになった。これは当然ながら重力の影響に違いなく、体幹を脊椎にぶら下げらるのが都合が良いらしいからであろう(下から支えるのでもなく、その周りに這わすのでもなく)。

物理的な特性や生物学的な理由は様々あろうが、ひとつにぶら下げておく方が重心を下に置ける。重心は低い方が安定性は得られる。硬い脊椎の上に重量のある柔らかい体幹を配置すると、背骨を中心にひっくり返るモーメントが常に働く。

柔らかい構造を脊椎の下にぶら下げておけば、様々な運動で発生する力をしなやかに受け流し衝撃を回避できる。もちろん、怠け者はどうなのだと言う反論はあるべきだ。その返答には窮するが取り敢えず彼らもぶら下がってばかりではないと回答しておく。
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脊椎動物の基本設計は、当然ながら四足歩行を前提としたものでありヒトもこの構造を踏襲した設計である。

それまで背骨にぶら下げていたものを方向を変えて配置する。ぶら下げていたものを垂直方向に重ねて配置するのであるから大改造である。それを従来の基本設計と筋肉を使って実現する。縦への配置替えは、詰まるところ、重力で落ちようとするものを如何に骨格と筋肉で支えるかという課題であったろう。

重たい頭蓋骨から肺、消化器官を垂直方向に組み替えるために、背骨を支柱として使ったのは間違いない。そして背骨を中心に筋肉で支える基本構造は変えない。

楽な姿勢を取るというのは、結局は重たい内臓を如何に支えるかという課題である。猫背はそのひとつの答えであって、背骨を前に出す事で内臓をぶら下げようとしているのではないか。

もちろん内臓はぶら下がる形になるので、次第にお腹が出てくる。このふくらみは馬や牛のお腹が自然重力でたるむのと同様であろう。両者の描くお腹の曲線は類似していると思う。


しかし垂れ下がるお腹を腹筋で支えるのは運動への影響は大きいと思う。腹筋を体躯を支えるのに使うと、その他の運動はその仕事の余力を以って行うしかない。これは構造的にそうなるのであるからどうしようもない。

運動の時に内臓はどのような役割を果たしているのだろう。まず体全体の重心を下げる役割がある。これによって体を安定させる役割が生まれ左右のずれを小さくするだろう。

しかし体を安定させるためだけなら、重石があればよいのであって、それを腹筋で支える理由はないはずである。

ウエストと呼ばれる部分をぐーーんと上に伸ばして、上半身と下半身を分離してみる。すると重たい内臓は骨盤の上に乗る。お腹も引っ込む。これは内臓を骨盤と背骨で支えるイメージだ。


どうも腹直筋よりも腹斜筋で内臓を支えている感じがする。そして腹筋が解放されたので、上体が自由に動けられる気がする。これは内臓という重石の配置を変えたからである。

こうして姿勢を変える事で得られる自由度の拡大、配置換えがゴルフのスイングに影響を与えないはずはない。と思う。

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