僕が好きなシーンは、ポーラクリーマーがミスショットして自分のバックをアイアンで殴りつけた時。もうその瞬間、彼女がワイルドキャットに見えて一遍で好きになりました。
僕は下手なアマチュアですが練習場で上手くショットが出来ない時はクラブヘッドで床を叩きますし、ゴルフ場では芝を耕しそうになります。ポーラクリーマーの激昂と比べればかわいい失敗でしょうけどゴルフとはストレスとの対峙でもあるわけです。
この激昂、つまり、ストレスを瞬間的に逃がす行為は一見すると我を忘れているように見えますが実際は非常に冷静なものです。それが証拠に芝やラフなどは決して傷付けません。八つ当たりする相手も自分のバッグなど選んでからやっています。このあたりが流石プロ。ちゃんと分かった上で冷静に八つ当たりしているのです。
当たり前の話しですが八つ当たりもしないような奴がいっぱしのプロのはずがありません。クラブを芝生に叩きつけた事もないような人にプロなど無理です。
メジャーでも池にクラブを放り投げたり、ゴルフバックごと放り投げた人もいます。タイガーウッズだってドライバーを叩きつけようとしますし、これってもうゴルフってスポーツの一面に違いないんです。怒りを観客の前で冷静に露わにする人でなければプロなど名乗ってはいけないのです。何故なら全てが上手く行っているのならそれはもうゴルフではないからです。
テニスでもラケットを叩き割った人がいましたよね。野球でも裏に引っ込めばロッカーを蹴り上げバットをへし折っているそうです。
これはプロだから許される(楽しい?)行為であって、アマチュアには推奨されていません。アマチュアなど単なる練習不足ですから、鬱憤を晴らす前に練習しろというだけの話しです。
とは言ってもそこはゴルフ。アマチュアと雖も瞬間的に怒髪天を突く事があります。そういう時はどうやって乗り越えればいいのでしょうか。大声で喚くのも有効でしょうか、それでも高く振り上げたクラブの行方はやはりどこかを必要としているのです。
ゴルフのストレスは少々の自己啓発なんかでは解決できるようなものではありません。振り上げたクラブは何かと衝突し発散されなければなりません。気が付いた時にクラブが壊れていようともです。だから冷静に八つ当たりする、この能力がゴルフには必要とされるのです。
そういう点では、気が付いていたら人を刺していた、という事件も気持ちは分かります。彼に足りないのは人を刺しちゃいけないなどという説教でも倫理観でもありません。ゴルフです。