人間の視野には限りがある。ということは、フォーカスしている部分以外は、周辺視野として捕らえている。アメリカの警察官がフラッシュライトを頭の横に掲げるのは視線との同一性を確保するためだろう。
一方で日本でよくやる体の中央に持つ方法は、恐らく提灯という伝統に根付くものだろう。基本的に弱い灯りで足ともと照らす。目的が異なる。
姿勢と視線は強い相関関係にある。どこを見るかというのは人間の心理と深く関わっている。どこを見ていないと不安に感じるかに等しい。この心理が視線の方向を決める。視線の方向が姿勢を決める。
足元を見ようとして視線が下を向く。自然と首が前に出る。足元を周辺視野に収めるのに不安を感じるからそういう行動をする。首が前に出れば、背中側の筋肉が頭が前に落ちないように後ろに引っ張り上げようと緊張する。
背中が下方向に引っ張るなら、自然と両肩の筋肉が中央寄りに引っ張られて、右肩はより内側に、左肩は、やや後方上に位置づく。このアンバランスはコリの原因となる。当然ながら下を向くので、肋骨の上側は下向きになる。これは胸側への圧迫となって、鎖骨回りを固める。
自分の体であるが、その構造のみならず使い方まで非常に無意識下にあり、かつ、人によって様々である。それに答えられるほどの柔軟性が人間の体には備わっているが、負担が増えれば痛むのは自然である。
またロボットの存在が人間の体への思い込みを強化する。
関節で体は動くと考える。足と体の境目は、ガンダムが示す通りと思い込む。しかし実際は足の始まりを筋肉という観点でみれば、肋骨のやや下くらいから始まっている。歩く時には、その辺りの筋肉から動き始める。
腸腰筋が足であると知れば、腹側は肋骨のやや下、背中側は、湾曲の下側当たりから始まっている。歩く時、腰よりも上に歩く行為がある。かつ、筋肉の役割はひとつではない。複数の機能を担えるように設計されている。
関節で考えるのではなく筋肉の方向で考える。すると片側だけで機能が解決するはずがなく、両側を意識する。足は腰から下だけで独立はしていない。最終的には頭の重さが関係する。
首という機能は、頭から肩甲骨の下までの筋肉が参加しているし、肩は体の真横というより後側から装着されて、胸から背中まで肋骨を含めて関係している。
筋肉で体の部位を理解すると、関節による理解とは全く違った体の構造が見えてくる。これはかなり大事な事のように思われる。
肩への負担の多くは、どうも首が固定化されている事に起因するらしい。首がある方向で固定されている、首が片側にずっと傾いている、そのような場合に、それが長く続けば凝る。逆言えば、首がずっと動き続けるならばこれを軽減できるはずだ。
チェックすべきは、左右の向き、左右、前後での重心のバランス、どこかが凝っているなら、それには理由がある。そうしなければ保たれない原因がある。姿勢は総合的なものだから、部分ではない。部分だけの修正で全体がよくなるには、あまりに関係し過ぎている。
直立は腹部で保つ。そうする事で上半身に余計な力を入れない。これが出来ないと、バランスを上半身、主に肩の筋肉で保つようになる。する肩が固定されたのに併せて首も固定的になる。最も重い頭部というパーツが一番上にあるのを支え続けるために。
首の支えには、梃子とか重力が利用される。首を後ろに下げると、顎が引かれるので、筋肉を使わずとも頭部を自然と前側にロックできる感じがある。
構造物は重力向きに重さが加わるので下が強く、上ほど弱くてよい。これは直立姿勢でも同様であるはずだから、下からの支えによって上の位置関係が決まる順序がある。つまり、上を動かしたいなら、下から動き出すのが正しいと思われる。これをしない場合、上だけで解決せねばらなず、上半身の筋肉は下半身の筋肉の肩代わりまでしないといけない。この負担増が様々なコリの現認になる。
姿勢は骨格と筋肉によってなる。その目的は内臓を抱えておくためであるから、内臓の位置もよい配置と悪い配置があるはずだ。例えば、空気の流動はスムーズである方が望ましい。ならば、気管支の配置が呼吸に影響を与えるはずだ。捻じ曲がっているのが良いとは思えない。内臓の配置も同様だと思われる。
その時、横隔膜の位置付けも重要で、横隔膜は、呼吸と深く関係し、肋骨の姿勢にも関係する。また内蔵の空間とも関係するため、姿勢にも大きく影響する。これらは三次元空間なので複雑である。二次元は360度で済むが、三次元は360*360の組み合わせである。
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