熊田曜子の事を此処に書く事になろうとは思いもしなかった。しかりロンドンハーツで彼女が言った事は正しいと思う。
通常、姿勢を良くする、背中をピンと伸ばすと言われたら、背中の筋肉を意識する。
しかしながら、背中の筋肉は基本的に薄く表面にへばり付いている形であり、ものを支えるのには不適切な構造である。
支えるならば倒れる方向に対して三角形の形を作るべきなのだが、体を横から見れば分かるように、背中側だけでは十分な三角形を作る事ができない。底辺の短い三角形しか作れないのである。
背骨はキャメルクラッチの例を見れば分かる通り前にはよく曲がるが、後ろには曲がりにくい構造である。これは関節がそうなるように嵌め込まれているからで、逆に言えば、その構造で重さを支えれば、筋肉は不要という話になる。
もともと、四足歩行から二足歩行に移行した時点で、類人猿は体を垂直に支える必要が生まれた。多くの猿がその支える役割を重力に任せている。木の上でぶらんとぶら下がることで、ほおっておいても自然とまっすぐになるのである。
陸上歩行する猿の多くは前傾姿勢である。見事な直立姿勢を見せるのはよく訓練された猿か、ボノボか猫くらいしか聞かない。
熊田曜子が語っていたのは、姿勢は腹筋で決まるという話だ。少し抑えつけたくらい腹筋を緊張させている状態が、良いという話である。
この話を聞いて不意に思った事がある。人間の特徴のひとつはよく発達した腹筋ではないのか。非常に恣意的な訓練をすれば8パックも可能だ。そのような不自然な話は除くとしても、四足動物と比べた時、直立姿勢を支えるのに人間は強く腹筋を発展させた動物ではないのだろうか。
姿勢を良くする、背中をまっすぐにする。その時、意識するのは背中ではなく、反対側を使う。上半身は腹筋で支える。そう考えた。
腹筋で上半身の全体を押し上げる。首や背中の筋肉は基本的にバランスを取るためだけに使う。そう意識してくると、色々な事が理解できた気がした。
背骨を腹筋で支えるのだから、肋骨を下から押し上げるイメージである。これは、腹側から上半身を後ろに押すような形である。
後ろに押された背骨は構造で全体を支えればよく、筋肉を使う必要はない。頭ものけぞるくらい後ろに倒せば、首の筋肉にも休息を与えることができる。これは腹部と背骨で作られた三角形が強く支える形になっていると思う。
そもそも、腹筋という大きな筋肉は、おそらく背筋よりも強い。肩が凝った、背中が凝ったという話はよく聞くが、腹筋が凝ったなどという話は聞かない。腹筋は支えるのに適した筋肉であり、力も強くかつ、休みやすいように出来ているはずだ。
この姿勢の変化は、ゴルフスイングにも影響すると思っている。
スタンスからして、支え方が違ってきているからである。
その上でシャフトの両端(グリップとネック/ヘッド)を意識する。
ヘッドは最も遠い位置からボールに向かって移動する。その時、ひとつの流れるような運動ではなく、二段階に分けて運動するようである。最初にトップ位置から下に落とす。まずネックが上を向く位置まで落とす。次にヘッドが横方向への運動を開始する。
これが二次元平面上(X,Y)ではなく、三次元空間(X,Y,Z)で行われる。その軌道は円軌道をイメージしない。
2016年9月16日金曜日
2016年9月4日日曜日
練習場より 2016.09.04号 - 地面の重要性
スイングの時、ときたまいい感じで打てる事がある。それはずっと謎だった。その時に何が起きているのかが。
スイングは重力から逃れられない。位置エネルギーは高さ0の時0であり、遠くなるほど無限大に近づく。距離が0になるほど位置エネルギーから運動エネルギーに置き換わるので位置エネルギーは0に近づくのである。
当然クラブを高いところから、ボールの位置まで下げることは、位置エネルギーを運動エネルギーに変える運動である。
これは重力による運動であって、クラブの質量を重力が引き付けるから発生する運動である。この運動エネルギーはその先でボールと衝突する。
これは超新星爆発と同じメカニズムでもある。超新星爆発は、周辺の粒子がものすごい勢いで落ちてくる現象である。落ちてきた粒子は、恒星の中心にある核と衝突する。
恒星の中心は強い重力によって凝縮しようとする。それが高圧高温状態を生み出し、核融合を可能とする。水素(1)からヘリウム(2)と始まり鉄(26)までこの現象が続く。しかしコアが鉄になるとこれ以上核融合が進まない。それどころか、光崩壊によってヘリウムと中性子に変わる。すると鉄が占めていた場所がヘリウムに変わるので、中心の密度は希薄になる。
そこに一気に周囲の粒子が流れ込む。流れ込んだものが中心に新しい核を作り出し、その後から流れ込んできた粒子とぶつかる。衝突した粒子はコアで跳ね返される。衝突する以上の反発が起きれば全体は外側に向かって広がる。一気に広がれば周囲のものを全て吹き飛ばすことになる。これが超新星(爆発)である。
超新星と比べるまでもないが、ゴルフスイングだって話は同じだ。下から上に向かい、また上に上がる以上、どこかで位置エネルギーは地面と衝突しているはずである。衝突すれば斥力が起きるのは当然であろう。
これを簡単に言い換えるならば、スイングすれば、地面に向かって押すような運動をしているはずであって、それは当然ながら地面から押し返されているという事である(この場合の衝突は重力によって起きるが、斥力は電磁気力で発生する)。
ゴルフコースは芝生なので、斥力は芝生のクッションも考慮しなければならない。ここが難しさのひとつなのである。スポーツのほどんどが床を固く安定させる方向で発展している。芝生や砂浜でやることは難しさの要因である。
この反発する力にうまくのる事が、いい感じの正体であると思う。それを感じるためには、スタンス。姿勢が重要だろう。まっすく落ちた力を押し返してくる。それを体できちんと受け止めるためには、スタンスの状態で準備しておかなくてはならない。足の位置と重心は跳ね返される力に対して構えていなければならない。
そうすると、自然と前傾姿勢や、前かがみであるより、垂直に立つ方がいい。こうして反力を受け止めるスタンスを作れば、あとは、クラブがボールにヒットする時に、つまりクラブが一番下にある時に斥力を感じ、その力をきちんと受けとめて、クラブが上がることに利用すればいい。
スイングは決して体の中でだけ完成する運動ではない。スイングが成立するためには地球という巨大な質量と重力が必要である。もちろん、生物が生存するには太陽も重要である。この人間原理によってゴルフクラブが生まれ、重力によってクラブはボールと当たり、そして、地面からの斥力によってクラブはフィニッシュに位置に上がるのである。
太陽と重力と地面。これらの力を使うという事が、スイングには欠かせない。
スイングは重力から逃れられない。位置エネルギーは高さ0の時0であり、遠くなるほど無限大に近づく。距離が0になるほど位置エネルギーから運動エネルギーに置き換わるので位置エネルギーは0に近づくのである。
当然クラブを高いところから、ボールの位置まで下げることは、位置エネルギーを運動エネルギーに変える運動である。
これは重力による運動であって、クラブの質量を重力が引き付けるから発生する運動である。この運動エネルギーはその先でボールと衝突する。
これは超新星爆発と同じメカニズムでもある。超新星爆発は、周辺の粒子がものすごい勢いで落ちてくる現象である。落ちてきた粒子は、恒星の中心にある核と衝突する。
恒星の中心は強い重力によって凝縮しようとする。それが高圧高温状態を生み出し、核融合を可能とする。水素(1)からヘリウム(2)と始まり鉄(26)までこの現象が続く。しかしコアが鉄になるとこれ以上核融合が進まない。それどころか、光崩壊によってヘリウムと中性子に変わる。すると鉄が占めていた場所がヘリウムに変わるので、中心の密度は希薄になる。
そこに一気に周囲の粒子が流れ込む。流れ込んだものが中心に新しい核を作り出し、その後から流れ込んできた粒子とぶつかる。衝突した粒子はコアで跳ね返される。衝突する以上の反発が起きれば全体は外側に向かって広がる。一気に広がれば周囲のものを全て吹き飛ばすことになる。これが超新星(爆発)である。
超新星と比べるまでもないが、ゴルフスイングだって話は同じだ。下から上に向かい、また上に上がる以上、どこかで位置エネルギーは地面と衝突しているはずである。衝突すれば斥力が起きるのは当然であろう。
これを簡単に言い換えるならば、スイングすれば、地面に向かって押すような運動をしているはずであって、それは当然ながら地面から押し返されているという事である(この場合の衝突は重力によって起きるが、斥力は電磁気力で発生する)。
ゴルフコースは芝生なので、斥力は芝生のクッションも考慮しなければならない。ここが難しさのひとつなのである。スポーツのほどんどが床を固く安定させる方向で発展している。芝生や砂浜でやることは難しさの要因である。
この反発する力にうまくのる事が、いい感じの正体であると思う。それを感じるためには、スタンス。姿勢が重要だろう。まっすく落ちた力を押し返してくる。それを体できちんと受け止めるためには、スタンスの状態で準備しておかなくてはならない。足の位置と重心は跳ね返される力に対して構えていなければならない。
そうすると、自然と前傾姿勢や、前かがみであるより、垂直に立つ方がいい。こうして反力を受け止めるスタンスを作れば、あとは、クラブがボールにヒットする時に、つまりクラブが一番下にある時に斥力を感じ、その力をきちんと受けとめて、クラブが上がることに利用すればいい。
スイングは決して体の中でだけ完成する運動ではない。スイングが成立するためには地球という巨大な質量と重力が必要である。もちろん、生物が生存するには太陽も重要である。この人間原理によってゴルフクラブが生まれ、重力によってクラブはボールと当たり、そして、地面からの斥力によってクラブはフィニッシュに位置に上がるのである。
太陽と重力と地面。これらの力を使うという事が、スイングには欠かせない。
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