誰か、おれをクズと云ってくれ。
( 愛していると云ってくれ )
練習場でよいスイングができてボールの行方も悪くない。所がコースに出たらそれが再現できない。もう何年打ち続けたと思っているのか。その不思議さが、ようやく分かった。
今日も練習場で自分のスイングを確かめる。
(カコーンカコーン)
悪くない、と思う。しかし、違和感、言葉にはできないどうしようもない違和感。
(ザワザワザワ)
しかしその違和感こそが糸口、何かが掴めるかも知れないという糸口。
(ザワザワザワ)
そうしていると不図、気付いたのだ。
(ハッ)
コースではこういう風にスタンスを始めてはいなかったと。
練習場ではボールを置く。目分量でスタンスを取って立つ。それからクラブを構える。ボールと体の間の距離に違和感がないか、まずは立ってみてそれから調節する。たいてい目分量で合っている。練習場では立つ場所にはマットが敷いてあるし、ボールを打つところにもマットがあって、目印がたくさんあるから簡単に合わせられる。
ところでコースではどうやってボールの前に立っているだろうか。ゴルフクラブのフェースをボールの後ろに置く。次にクラブを傾ける。それを持った位置が立ち位置とする。
立ってからボールに対して構えるのか、クラブの位置を決めてから立つ位置を決めるのでは決め方の順番が違う。この順番の違いは、スタンスの場所、ボールとの距離、重心の位置、上体の角度、頭の位置、全てが変わる原因となる。
こうして練習場とコースでのスタンスの違いがスイングの失敗を生むのは当たり前だ。スタンスが違うのに、他を練習場と同じようにスイングしようとしてもそれは狂った装置の稼働に過ぎない。照準器が狂ったライフル、コンパスの壊れた羅針盤、ケーブルの抜けかけたニュートリノ実験器か。
もう一度コースに戻りたい。あの時のあの失敗のあの瞬間に。スイングに感じた違和感、その違和感の瞬間を取り戻したい。あの時、スタンスの取り方に気付いていれば、もっとマシなショットが出来ていたかも知れない。何年、練習場でやってきたと思っているんだ。
そんな後悔をしながら練習場でボールを打ち続けた。
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