2010年4月27日火曜日

練習場より 2010/04/27 - クラブの話

ゴルフクラブというのは魔法の杖ではなく この世界で作られた道具だから 優れて物理的な特徴を持っている。この物理特性を無視して運動させてもその能力は十分に発揮できまい。

ゴルフクラブの特徴は、長いシャフトの片方の先にヘッドが付いている事である。

野球のバットやテニスのラケットと異なる点の一つは、野球のバットは長い軸の延長線上に重心があるが、ゴルフクラブは延長線上に重心がないという点である。そのため、クラブを地面に水平にすれば、重心の大部分を占めるクラブヘッドが鉛直線方向下向きに成ろうとする。つまり何処から見ても均等な位置に重心があるのではなく偏った一方向に重心があるのである。だからグリップの傾きが異なれば運動も異なるのである。

シャフトは人間からの力が加わる部分だが、ヘッドはクラブの動作上の中心となる。クラブを地面に水平にして上下に振ってみれば感じられるのだが、シャフトの軸線とヘッドの重心とを結んだ直線方向に動かすのが一番スムーズに安定して高速に動作する。

クラブの特性としてこのシャフトとヘッドの重心を結んだ直線方向が一番加速しやすい。

するとその物理特性はスィングにも影響するはずである。

しかし、ゴルフのスィングでは、単純な直線運動ではない。トップからフィニッシュまでの間にシャフトの軸をヘッドは追い抜いてゆくなど、円弧の回転に加えて軸回転も発生する。

この追い抜き動作を手首や腕で操作して制御するのはヘッドスピードから言えば ほとんど無理だ。意識的にそれを制御するにはヘッドスピードが速すぎるのだ。意識的には、シャフトとヘッドと結んだ直線上にずっと加速している感じの方がまだいい。

トップでこの直線の方向を決め、直線上に加速してダウンする。ここに加速している意識でいるとボールに当たる時には、ボールの飛方向に対して垂直になっている。そしてフィニッシュするとヘッドがシャフトを追い抜いているという感じだ。人間の体の構造上、シャフトがずっと前を向いたままヘッドが後ろにあるまま右から左(レフティでは逆)にスィングする事は不可能ではなかろうが、体に相当な無理をさせるはずである。つまり、ほっとけばヘッドは回転するわけだ。

このあたりは感覚もあるので其々の人で感じ方が違うんだろうが、ゴルフクラブの二点の重心(シャフトの軸とヘッドの重心)を意識したスィングというのは、ヘッドを効率よく加速させるために必要であり、物理特性への考察も大切なスイング要素だと思うのである。

これはクラブを作っている人達には明白な事だろうと思うと、今更のような気もする。しかし複雑なゴルフクラブの運動というものは単純な科学に全て置き換える事などできまい。だから物理特性に明らかに反しないようにクラブは作る、そしてそこからどれだけの能力を引き出すか、付け加えられるかはゴルファーの試行錯誤に委ねられているように思われる。

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