2012年3月8日木曜日

練習場より 2012.03.08 - 背中の角度

時により過ぐればゴルファの嘆きなり八大竜王(土曜日までに)雨止め給え

土曜日に晴れにやならん冬の雨 [面白し雪にやならん冬の雨]

車の運転をする時に、アクセルを見ながら運転する人はいない。ハンドルの動きを見つめながら運転してたら、良くて人を轢き、悪ければ人々を轢く。

同様にスイング中に、腕がどうだ、腰がどうだ、背中がどうだ、それは練習中のスイングであって、コースですべきではない。練習では細部に宿り、コースでは総合である。

さて、そこで練習についてである。

スイングでは左腕が大きく回転する必要がある。左肩はトップの時に 5cm 程度は右に移動する。そしてこれが元の位置に戻りながら、スイングの回転は行われる。しかし、元の位置に戻るはいいが、左に戻り過ぎてはいけない。

その為には背中に重要な役割がある。ここがフラフラと揺れてはもういけない。背中の角度は一定であるのがよい。雰囲気では言えば、肩甲骨の真ん中あたりを背中の中心として体の上半身が回転するような感じだ。

一か所ではなく全体。個々に分解したものを集めても全体にはならない。それは解剖した人間の体をもう一度元に戻しても生き返らないのと同じだ。全体を統一していた何かが失われている。

それでも個々の原理を追求することは無駄ではない。理解する事と実行する事は同じではないが、しかし理解せぬ実行は実に危ういものだ。幾人かの天才だけはそれを可能とするが。

個々の動きをそれぞれ理解するのと同時に全体についても体に染み込ませる必要がある。この全体についての感覚は身に付けなければならないが、自転車に乗るのを言葉にするのと同じで、それを言葉にするのは難しい。ただ一つ言えるのはスイングは力をボールに与える事であり、この仕事量は速度に置き換える事が出来る。

運動エネルギー = 0.5 × 質量 × 速度 × 速度

速度は重力と筋肉が生み出すものであるが、この筋肉 (と関節) は、多くのスイングの場合、スイングを減速させている。逆に言えばスイングの練習とは減速させている箇所を見つけそこを取り除く事である。

ゴルフのスイングは物理学の、遠心力、テコの力、重力、重心などが関係している。そして体全体の運動という点では生物学が関係している。骨格、筋肉の動きは力を生むだけではなく、力を分散し減速する働きもするからだ。左肩の位置が右に動き過ぎると構造上、左肩は後ろに向く、つまり体が開く。右側に残り過ぎるとクラブの軌跡の邪魔になり減速の原因となる。

クラブの加速が邪魔されないしないように抜けていくのがよい。ボールとの位置はスタンスの時の左肩の位置で決まっているのでインパクトの時もここに戻るべきである。でなければ、体のどこかが調節している事になる。

左腕に対して右腕が外側を通るか、内側を通るかでスイングは変わる。外側を通っているとしたら右肩の動きが関係しているし左腕の動きにも影響する。

あちこちでこういう動きが起きているので、これら個々に気付きいても全体がどうなっているかは一向に見えて来ない。全体を統合してスイング出来ている時は、個々への意識が希薄であるあし、意識は全体に対して行われており一か所に集中はしない。一か所に注意がいくのは練習場ではそうあるべきかも知れないが、コースではそうではない。

さて予報よりも早く雨が降り始めた。これは予定よりも早く雨が上がる兆候であろう。土曜日はきっと晴天のもとゴルフができると思う。我が同朋どもは晴れていたらゴルフをするが、雨が降ったらキャンセルしようと言い出す連中である。なんと二日前に雨予報を聞いただけでキャンセルすると言いだす始末である。

ここは一丁、私が厩戸皇子よろしく雨を止めてみせましょう。

2012年3月5日月曜日

練習場より 2012.03.05 - 利き目, 右膝

人間の目は非常に精密に出来ている。

もちろん、目という器官だけではなく、情報処理を行う脳も含めての話しだ。

人間 (哺乳類) の目は優れているが、では他の生物と比べても優れているかと言えば、そういう話でもない。イカは哺乳類と類似した目を全く別の発生により手に入れたのだし、複眼には複眼の使いようというものがある。

見る―眼の誕生はわたしたちをどう変えたか(2009/1/23) - サイモン・イングス

さてゴルフの話しである。

打ち込む先の目標は一点であるけれど、それを測定するのは目だ。顔は横向きであるから左と右は目標に対して斜めである。だから「利き目」がどちらであるかが重要な話になってくる。更には「利き目」に対してもう片方の目が前にあるのが良いのか、後ろの方が良いのかも、知っておく方がいい。

我々は横向きに立っているから (ゴルフはスノーボードと同じ横向きのスポーツ) 目と目標物を結ぶ直線は、ボールと目標物を結ぶ直線と並行ではない。だから自分の目線の先の方向にボールを打てばボールは目標よりも右に行く事になる。

脳が処理したボールと目標との直線は、実際のボールと目標の直線とは平行ではない。目標と目とボールは三角形を作っている。だから錯覚が生じる。体は目で見た感覚に合わせて打とうとするから、スイングの時にボールから目を離すなと言う格言は、この錯覚を遮断する効果があると思われる。


人間の体における足の占める割合は大きい。女性の足が好きと言う人なら尚更この事実を容認してくれるだろう。体重の 10% を占める重量を持ち、筋肉量も体の中で最大である。だから足が蹴る力は体の重心を大きく動かす。

スイングの時に右膝が前に出ると体全体が左を向く。これが体が開くという事であり、体が開けばスイングの軌道が変わる。どうやらスイング中は右足の膝は左足のそれよりも前に出てはならぬ、と思われる。これがスイングの基本らしい。