2017年10月18日水曜日

練習場より 2017.10.18号 - 腹筋

姿勢はスイングに通ず。昔の剣豪たちは、自分の筋肉一本一本までも意識した最も理想的な動かし方を見出していたであろう。それは歩くときの姿勢さえ変えるものであったろう。剣聖を言われる人たちは、相手のたった一歩の歩きを見ただけでも、その剣の腕前を見抜いたと思われる。

しかしわたしは辛いのだ。姿勢がよくなってなんになろ。この肩こりが解消されるわけじゃなし。というわけで良い姿勢は肩こりを雲消霧散するはずである、と信じている。最近ではスイングの練習と肩こりの軽減は同じ意味になっている。

さて、なにもかも姿勢である。須らく姿勢を研究すべしである。上体は体の下体で支える。それは体の4方を取り巻く筋肉が担う。外腹斜筋、腹直筋、脊柱起立筋、広背筋などの役割である。

背骨が直立を支える基本である。バランスよく骨に乗っているなら、筋肉はなんら働く必要はない。だがバランスをとるためには様々な筋肉が動員される。腹筋で土台を支える。体の内側にある横隔膜や大腰筋も支える。大小さまざまな筋肉が体を動かすのに参加している。

だから、肩こりや背中痛が起きるのは、1か所に負荷が集中しているからであろう。長時間、その負荷にさらされているからであろう。

筋肉の収縮、または伸長状態が長時間続く事が肩こりの原因だとすれば、これらの筋肉は随意筋でありながら、意識では完全に緊張状態を抜くことができないという話になる。

これは筋肉への電気信号を完全に意識で止めることはできない、という意味になる。これは考えれば当然の話であって、もし全て筋肉を意識によって動かさなければならないとしたら、人はただの一歩でさえも前に進むことはできないであろう。

つまり我々が意識をもって体を動かすとは、その下で無意識で動く無数の筋肉によって行っているという事だ。意識は無意識を間借りしているに過ぎない。ベースは無意識が動かしている。動かし続けている。その動きを意識は邪魔できない。意識はただ、その無意識に対して、割り込んでいるだけである。それは無意識に対して発注しているに過ぎない。それを自分の手柄と感じているあたり、意識は度し難いのである。よって運動とは無意識という制限が掛かっているものであり、その制限の範囲にのみ自由がある。この体は、我々の意識が所有しているのではないのだ。

そうはいってもゴルフと肩こりは切実な問題である。この体が我々の自由にはならないとしても、問題は解決しなければならない。

スイングは前傾姿勢で行うから、スイングの基本動力は腹筋である。トップの位置から、まず右の腹筋が収縮する。これで体全体は左に向かう力を得るから、腕は無力のままクラブを動かす。意識は腕に力を掛けなくても無意識がちゃんとやってくれるはずだ。サイコキネシスではないが、体というものは動けと念じるだけで勝手に動くものである。

トップで右側の腕があがるので、側筋も伸びた状態である。これをもとの縮まった状態に戻す。これをしないと、腕の軌道は安定しない。スイングのパワーの中心は腹筋にある。それを両足は下から支え、大地との接点が重力とその反力を与える。無意識は力を与える担当だから、意識がバランスを担当する事になる。バランスが崩れるとスイングは安定しない。

下半身がパワーを与える。上半身はそれらの力を受けて最速で移動すればよい。最速で動かすのに力は不要なのだ。軽ければ軽いほどよい。

これらはすべて日ごろの姿勢の応用である。

0 件のコメント:

コメントを投稿