姿勢が変われば、スイングも変わる。そう思っている。達人は、その人の立ち姿を見ただけで、体の使い方の細かさや癖まで分かってしまうだろうと思う。
さて、人間には600程度の筋肉がある。それはすべて脳が制御するわけだが、当然ながら、そのひとつひとつを意識して動かしているわけではない。全てを意識して動かすとすれば、さっき食べたケンタッキーでさえ、無事消化して排出することは出来ないだろう。
人間は生まれてから随意によって動きを覚える。その時、どのように感覚すればどう動くかを覚えてゆくのだが、当然だが、筋線維の一本一本を意識していては、とてもではないが生き残ってこれなかったはずだ。ライオンから走って逃げることさえ出来ない。
無意識にできるまで反復練習するのもそのせいである。逆に言えば、これは意識してしまうと上手に動かせなくなることを示唆している。
一方で、肩こりであるとか、足のこりなどがある以上、いつくかの筋肉は緊張しっぱなしの状態になっており、それを意識して解除できない状態にあることも容易に想像できる。
これらの事から、筋肉を動かすにしても、意識して緊張させるにしても、脳が他の筋肉も付随させて自動的に動かしていることは確からしい。この無意識が追加する働きによって、はじめて体は動きを体得する。
と言うことは、人によって、筋肉の使い方がそれぞれ違うのは当たり前の事であるように思われる。同じ足を上げる動作にしても、どの筋肉がどれくらい使われているかは、万別ぞれぞれの個性である。
その筋肉の使われ方の違いは、当然ながら結果にも直結するはずである。生まれながらに運動神経が良い人やセンスがある人というのは、自然と上手に筋肉が使えているのかも知れない。
どのような使い方がどのスポーツに有利かはもちろん、幅があって、これが唯一正しいという事はないだろう。それでも、それよりはこちらの方がより良い、というのはあると思う。
というわけで鎖骨である。鎖骨を少し広げることが大切ではないか、と思うようになってきた。鎖骨を閉じるとは腕を前に出した状態で、鎖骨を開くとは、腕を後ろにやったような状態だ。鎖骨を翼に例えるならば、翼を広げろ、という意味である。
鎖骨を開けば、腕は体の両横に置かれる。これがスイングにも影響しないはずがない。と思うのだが、どう影響するかまでは知らない。
それでも、スイングにおいて、左腕がボールと当たった後で、どのように左腕を畳むかはとても重要であって、それをするためには、体ごと左に向けるしかない。
左ひじが体についたような形になってから腕は畳まれる。この時、体も左を向くことで腕の運動をスムーズに減速している。フィニッシュというのは単に減速する機能ではない。
フィニッシュとは、加速を十分にするために必要な機構であって、例えば、大型飛行機を着陸させたければ3000m級の滑走路を用意しろというのと話しは同じである。下手なフィニッシュは、1000mの滑走路しか用意していないのに大型旅客機を着陸させろと要求するのと同じだ。フィニッシュこそが、十分な加速を得るための重要な方法なのである。
左腕が途中で止まってしまえば、それが逆ブレーキになって動きを阻害するだろう。そういうパワーロスがスイングの全体に影響する。小さな阻害がどれだけの影響を与えるかは知りつくせない。だが力をきちんと制御するには、急ブレーキやロックさせることなくスムーズに動かす、そのためには減速する仕組みが正しく動くこと。それが重要だと思ったわけである。
気分は下から打つ、って感じ。